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aekam’s blog

日々の記録。yogic life

読書メモ【文系の壁 / 養老孟司】

ロジカルな思考を持つ理系の専門家の対話を通じて人間社会というどちらかと言えばふわふわした分野を捉え直す、という興味深い一冊。

今自分が働いている業界は様々な分野で働く世界中の人々と一緒に仕事をする機会があるけど、仕事をするにあたって、例えば日本の自治体、国立の専門機関、そしてNGO など、組織の種類によって微妙に文化や考え、それによる物事の進め方が異なるので、それぞれ自分の立ち位置や振る舞い方などのポジショニングを都度調整しないと上手く噛み合わない事が多いと感じる。

そして、社内の人々も雇用形態やバックグラウンドが様々で、物事を円滑に進めるためには同じように相手に合わせた自分のチューニングが必要で、それはまだまだ自分にとっては難しい事なので暗中模索に感じることも多く、常日頃頭を悩ませている。

この本には自分がそんなかんじで「何だろう、難しいなあ」と日頃悶々としている気持ちをきれいに紐解いて定義付けしてくれるような内容がところどころにあり、膝を打つこと多数。
読後は人生の先輩にいろいろな話を聞いてもらったような気持ちになった。

いわゆる「国際的」な仕事やその中での調整役をすすめる事が多い人は日本と海外の文化的背景からくる価値観の違いや仕事の進め方に戸惑う人が多いのではないかと思うけど、そういった人におすすめな一冊。

以下お気に入りの箇所メモ



鈴木健氏との対話「なめらかな社会への可能性」<日本語で思索をすると仏教との親和性が生じてくる>

因果関係をたどっていけばどこかに根本的な原因があり、それがすべてを司っているというのが、伝統的な西洋の考え方
これにたいして身体制の思想とは、中枢神経系を特別なものとして扱わないということ。中枢神経系もからだの一部であり、中枢が全てを司るのではなく相互依存していると考える。


→西洋思想と東洋思想の違いの説明、わかりやすいー。
この1つ前の養老さんの発言に「瞑想や座禅といった一般的な身体の訓練は東洋が得意。西洋の身体性は偏っていて、オリンピックで特定の筋肉を異常に発達させている選手を見てもわかる」という発言にも東洋と西洋の比較にたいして同じ視点が見られるなあ。


ジャーナリストの須田桃子氏との対談、
生き物の在り方を見る


<科学は欧米型、生き方は日本型で>

養老氏
欧米型の方が科学の仕事は上手く行くことが多いが、日本社会では上手くいかない事が多い。

日本の社会適応というのは27,28で完成されるがその時期に留学などで海外二いくと日本社会に適応できなくなる。当人たちは気づかないが、日本型システムにピタッとはまっている人と欧米型システムの常識を持って帰ってきた人の間で揉め事が起こることも多い。

日本の社会で30過ぎまで仕事をして落ち着いた段階で留学すると自我を保てる、向こう側に飲み込まれない。

三十にもなれば、仕事でやっている論理と、日本社会に適応していく論理は別だなということがわかってくるんです。それ以前だと、仕事の論理と社会的な生き方が完全に同じになってしまう。そこを変えようとすると、自分を変えることになるので、絶対嫌なんですよね。だから喧嘩になるんです。

→留学経験者は勿論、海外各国勤務経験者がゴロゴロいる弊社。こういうことか!


この本の方は皆それぞれが「大御所」と呼ばれるような方で、考えも目線もぶれず安定している。
自分はまだまだ付和雷同的な面が抜けないので、もっと自分を確立したいものだと改めて思った。